コンテンツ流通を促進するクリエイティブコモンズ(CSS Nite Vol.47)

wrote2010.05.21

講演者
(敬称略)
林 千晶(株式会社ロフトワーク)
岩瀬先生(日本を代表する著作権関連の弁護士)
開催日
2010年5月20日
場所
アップルストア銀座店

「すぐにでもドキュメントが読みたい!」資料公開が待ち遠しいセミナーでした。
著作権がテーマ。とても分かりやすく惹きこまれました。
以下メモした内容のまとめ。

著作権の成り立ち

1440年
ヨハネス・グーデンベルクが活版印刷を発明、このとき「著作物に関する権利」の考えが生まれる
18世紀後半
フランス革命
「出版」の権利から「著作者」の権利へ概念が変化する(権利の逆転)
1886年
スイス ベルヌ条約
  • 無方式主義(創作時に発生)
  • 著作者人格権の保護(決して情とされることのない一身専属性)
  • 著作権の保護期間(最低50年)
世界の著作権法の基盤
1899年
日本において著作権法 制定
1970年
著作権法 改正(現在の著作権法)
2002年
クリエイティブコモンズ 発足

著作権の難しさ

  • 知的材再建と混同してしまう
    (たとえば、ビルや人が入った写真を撮影したとき、ビルはビルをつくった人の権利があるし、人は著作権というより肖像権の問題があったり)
  • 著作権と著作者人格権の関係が難しい
  • 著作物の定義が曖昧で、グレーゾーンが大きい
    (たとえば、キャッシュは違法だった(2010年1月1日から合法に改定))

というように、グレーゾーンが多すぎる
その背景として、著作権の主なプレーヤー「プロフェッショナル」中心からネット時代の著作権のプレイヤー「ネット利用者」に移り変わっていることも関係している。

グレーゾーンって?
実際に侵害するかわからない(諸作物背の有無・複製の有無・類似性の有無・アクセスの有無・例外規定の適用あるか・フェアユース)
許諾の有無があるかどうか不明(黙示の許諾)
などなど

アメリカでは、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)というのが2000年から施行されているそうで、「疑わずは罰せず」というもの。 日本では、「疑わしきものは訴えられるかも」という環境(たとえば著作者全員の承諾がないとインターネット配信できない)

DMCAは賛否両論とのことだが、自分的には、圧倒的に「疑わずは罰せず」であってほしい。

クリエイティブコモンズ

そんな中、契約を結んだ企業の権利(All Rights Reserved)でもなく、権利を放棄(No Rights Reserved)でもない、悪い利用をしなければ利用してもいいですよ!(Some Rights Reserved)というのが、クリエイティブコモンズ

クリエイティブコモンズが取り決めるのは下記4点のみ

表示
著作者の指名、作品のタイトルなど、作品に関する情報を表示する必要があるかどうか
非営利
作品を許可なく営利目的でなければOKかどうか
改変禁止
作品を加工してよいか
継承
ライセンス条件を継承(ソフトウェアに近い)
※ちょっと意味が分かりません・・・。

上記4点を放棄するなら、No Rights Reserved だし、これ以上の縛りをつけたいとき(意図しない利用はダメとか)は All Rights Reserved にするってことで。

クリエイティブコモンズには3つのレイヤーがある

コモンズ証
みんなが一目でわかる
ライセンス条項
法律に基づき厳密
メタデータ
サーチエンジンなどで利用

Q&A

コピーライトの年号って?
要らない → 昔からの名残で残ってるだけ。
死後50年たっている人の作品を加工していいのか?
全部ではないが、敗戦国のペナルティーってのがある(+25年で75年という実例も)。
そもそも50年という括りも見直される話しが持ち上がっては消え・・・
著作権が切れた写真を使える?
写真自体に写真を撮った人の著作権が残るから、それをクリアにしないとだめ。
ただ、立体を撮った写真のコピーはばれるためNGだが、平面は特定できないためいけないけどコピーしちゃうケースはあるらしい
著作者不明のコードを自由に使っていいのか
だめ。ただ、許諾の有無があるかどうか不明であれば「黙示的に許諾してましたよね?」は常套。

その他

  • 坂本龍一さんがクリエイティブコモンズで一部音源を公開している!
  • 横尾忠則とアンリ・ルソー
  • 途中でクリエイティブライセンスの条件を変えた場合ってどうなるんだろう?
  • Webならではの訴訟で、写真、音声、画面のレイアウト、機能面というのがあるらしい
  • 素材を利用した画像作成を依頼された場合、何かあった場合は責任とってねの一筆

最後に(本編とは関係ないですが)

作り手へのリスペクト。激しく同感。自分もそこはずっと感じてる。曲書いたり詩書いたり、そんな趣味があるが、完全無なところから作り出すことなんて不可能。環境や影響を受けて自分なりに解釈して自分の考えを加味して作品は生まれるものだから。
ただ、まねしようとしてまねるのはコピーだが、まねる気はなくてあとから、あ、同じだったってのはコピーじゃない。リスペクトによるものだ。そして、○○に影響を受けて、と添えればよしではないだろうか。悪しきは商業思考。おっと、なんか精神論的で視点がずれてしまった。